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第18回日本がん検診・診断学会総会の開催にあたって

会長 麦島 秀雄
(日本大学医学部小児科学系小児科学分野)
会長顔写真

第18回日本がん検診・診断学会総会を、平成22年7月16日、17日の2日間、東京都千代田区市ヶ谷の日本大学会館で開催いたします。一昨年まで日本小児がん学会の代表として、がん対策推進協議会に参加させていただき、がんの専門家の先生方だけではなく、がん検診に関わっておられる方、マスメディアの方、現在がんと闘っておられるご本人や患者会の皆様方から、がん検診のあり方などに関する生の声を聞く事が出来ました事は私にとってこの上もない収穫でありました。また、今回はこの様な学会の開催機会を与えて頂きました事を光栄に存じます。私の専門分野は小児血液・腫瘍学ですが、小児がんは神経芽腫のマススクリーニング以外はがん検診とはあまり馴染みのない領域ですが、小児も当然のことながらいずれは成人になるわけで、小児科医と言えどもがん検診について関心を持つ事は大切なことであります。

前回の学会会期中に第1回目のプログラム委員会を開催させて頂きその後メールなどで委員の先生方から貴重なご意見をいただきながらプログラムの作成をいたしました。

特別講演1として宮城県対がん協会会長の久道茂先生に「がん検診判断学について」と題してお話し頂きます。特別講演2としてはわが国のがん対策推進協議会の議長も勤められておられます、国立がん研究センター名誉総長の垣添忠正先生に「わが国のがん対策―個人として、地域として、国として―」と題してお話し頂きます。

今回は4つのテーマでシンポジウムを企画いたしました。

シンポジウム1は「がん検診の受診率の向上」について4名のシンポジストで討論して頂きます。シンポジウム2は小児科領域から現在休止している神経芽腫のマススクリーニングについて2008年Lancetに投稿された檜山英三先生、および浅見直先生の座長のもとで「神経芽腫マススクリーニングの正しい評価と今後」について4名のシンポジストで討論して頂きます。

シンポジウム3は「超音波検査によるがん検診の現状と対策」について乳腺領域、腹部領域、泌尿器領域、小児外科領域の立場から4名のシンポジストで討論して頂きます。

シンポジウム4は今回のシンポジウムに先駆けて開催された、「検診の実施間隔についての過激な提言」について再度、座長の渡邉泱先生、池田徳彦先生を座長に8名のシンポジストからそれぞれ関連領域からの率直なご意見を伺う事になると思いますので大いに期待したいと思います。

最近わが国でも若い女性に対しヒトパピローマウイルスワクチンの接種が開始されていますが、ランチョンセミナー1はこれに関連して東北大学産婦人科准教授の伊藤潔先生に「HPV検査を考慮した子宮頸がん検診の新たな運営」についてご講演頂きます。

ランチョンセミナー2は藤田保健衛生大学消化器内科教授の乾和郎先生に「膵がん検診の課題と展望」についてご講演頂きます。

現在本学会の会員は約700名ですが日本がん検診・診断学会の重要性を少しでも多くの方にご理解いただくために、今回は新しい試みとして関連7学会の会長に各学会から要望演題をご提案頂き一般演題の募集をさせて頂きました。要望演題として、日本消化器がん検診学会は「消化器がん検診の新しいパラダイム」、日本肺癌学会は「肺癌検診の精度管理」、日本婦人科がん検診学会は「がん検診の精度管理のあり方と実際」、日本腎泌尿器疾患予防医学研究会は「前立腺がん検診に年齢上限の設定は必要か」、日本乳がん検診学会は「がん検診画像のデジタル化の問題点と将来」、日本医学放射線学会は「画像診断によるがん早期発見の現状と将来展望」、日本小児がん学会は「神経芽腫のマススクリーニングの有効性と問題点」です。さらに、各学会誌に会告の掲載をお願いいたしましたところ多数の応募がありました。改めて各学会長の御協力に感謝を申し上げます。また、今回は厚生労働省の後援をいただきました。この学会がわが国のがんの発見率の向上に貢献しさらにがん撲滅に寄与する事を願ってやみません。多くの方のご参集を心より願っております。

麦島秀雄 略歴(日本大学医学部ホームページ)